INTERVIEW

01 02 03

戸塚 佑貴

取締役 Head of Games

ゲーム事業の旗振り役に聞くアカツキの成長秘話と現在

INTRODUCTION
取締役 Head of Gamesとしてゲーム事業部全体の旗振り役を務める戸塚佑貴さんは、創業期から現在までのアカツキの成長をどのように捉えているのか。前職を含めた本人のキャリアも振り返りながら、アカツキのゲーム事業の“今”を浮き彫りにしていきたい。

ゲームを作ることに熱中できるアカツキ

このインタビューでは、アカツキのHead of Gamesである戸塚さんに3部構成でお話を伺っていきたいと思います。まずは、戸塚さんが入社された2012年の創業期から現在までのアカツキを俯瞰して話していただきたいのですが、そもそも前職からゲーム開発に関わられていたんですか?

前職のディー・エヌ・エー(DeNA)ではモバゲー(Mobage)の広告営業として、いわゆるゲームプラットフォームの仕事をしていました。

 

ゲームを作るというよりは、色々なゲームの傾向などを分析しながら、ユーザーさんが望んでいるゲーム体験の進化の可能性を抽象化して、「数カ月後、1年後、次の時代にはどういったゲームが当たるか?」ということを自分なりに解析していました。例えば「このRPGのゲームデザインにギルド的な要素を加えたらより活性化するんじゃないか」とか、「RPG×ギルドというゲームだったらSFっぽい世界観が合うんじゃないか」とか、ゲームデザインや世界観を掛け算して、進化の中で「穴が空いているところ」を見つけるようなことをして、ゲームプラットフォームやデベロッパーへ貢献する、というような仕事だったと思います。

そこからアカツキに入社されて初めて、自分の手でゲームを作る側になるわけですが、ゲームを「作ること」の苦労はありましたか?

大ヒットを出す天才性が自分にあるのかを自問自答することはありますが、ゲームを作ることそのものへのハードルはそんなに高いとは思わなかったんです。というのも、ソーシャルゲームの勃興期だった前職の頃に、ゲームがどういった数値の集合やバランスでできていて、どんなコンテンツを提供すればユーザーさんが喜ぶのか日々研究していました。だから、ゲームを作る時にどういう軸で何を考えないといけないのか、イメージはついたんです。当時のゲームってガラケーの「5のボタン」を押し続けるとゲームの進行がどんどん進んでいったんですけど、それこそ朝から晩まで両手にガラケーを持って「5のボタン」を押していましたから(笑)。

なるほど(笑)。当時のアカツキはどんな雰囲気だったんですか?

僕が当時のアカツキのオフィスがあった恵比寿のマンションに飛び込んだのは創業2~3年目の頃で、社員も10名くらい、いわゆるソーシャルゲームバブルの中で台頭していこうという時代だったんですけど、 まさに「スタートアップ」という雰囲気でした。UIの画面をエクセルに落とす時間もないから、A4の紙に書いてセロテープで繋げて壁に貼って「じゃあこれ全部、あと5営業日で作りましょう」とか、バナーを作るのは火曜と金曜に来てくれていたインターンのデザイナーの方の仕事だったんですけど、リリースが木曜になったから僕がフォトショップをいじって作らないといけないとか(笑)。そうやって「よし、リリースしよう」っていうのを毎日やっていました。

現在に比べると会社はかなり小規模だったと思いますが、振り返ってみて、今のゲーム事業部とは結構違いますか?

当時はその時作ってるタイトルや新機能をヒットさせることだけにみんなが没入できていたというか、小難しいことを考えるよりも全力で突っ走るみたいなところは楽しかったです。でも、今もがむしゃらにやってはいるので、実はあまり変わってはいないのかもしれません。チームの規模は大きくなりましたが、当時も今もみんなおもしろいゲームを作ることに熱中してのびのび仕事できているんじゃないかと思います。

球の来ないバッターボックスでは
どんな4番打者でも打てない

アカツキの大きな組織となった現在も、みんなが「おもしろいゲームづくりに熱中できている」理由はなぜだと思いますか?

トップ自らがすべてのプロダクトに魂を込めるやり方もあると思いますが、僕の場合は、例えばプロデューサーのようにプロダクトの前線で100%時間を注いでいるリーダー陣に「あなたがCEOだと思って自由にやってください」と権限を渡すようにしていて、それがひとつの理由にはなっていると思います。アカツキが世界の人々に対して掲げる「ハートドリブン」という言葉も、まずは僕たち一人ひとりがそうなることからだと捉えていますからね。

かなり思い切った判断ですね。とは言え、それでも戸塚さんはアカツキ全体のポートフォリオを決めなくてはいけない立場にあるわけですが、リーダー陣に権限を委譲する前の段階で、新しいタイトルの「やる」「やらない」はどのように決められているんですか?

みんなが「燃えない」というか、「やりたくない」と思うようなプロジェクトを決めても結局歯車が噛み合わなくて中途半端なものになってしまうと思うので、売り上げや利益の話は最後にして、まずは企画の構想を持っている本人としっかり話したり、みんなが今どういうことに興味があるのかをちゃんと把握した上で決めるようにしています。よく「バッターボックス」に例えるんですけど、球の来ないバッターボックスではどんな4番打者でも打てないですからね。ちゃんと球が来るような、バッターが輝けるようなバッターボックスを用意して勝負していきたいと思っています。一方で、そうやってみんなの「情熱ドリブン」で始めるからこそ、それを「止める勇気」というのも常に意識しています。

それはなぜですか?

アカツキのゲーム開発では、そのコンセプトが本当にヒットする可能性があるかどうか、ユーザーさんに刺さる可能性があるかどうかを、実際にターゲットユーザーさんにプロトタイプを触ってもらったり、外部のマーケティングリサーチ会社の定量調査でユーザーボリュームを測ったりして、開発の前半から仮説検証しながら進めます。「情熱ドリブン」で始めるが故にガチガチに計画し過ぎないからこそ、中には途中で「どうしても難しそう」になるものもあるんです。そんな時に、アルファ開発でいくら、デモ版やプロトタイプでいくらとかけたコストの心配があるわけですが、何よりみんなの大切な時間を奪ってしまわないために「止める勇気」を持たなくてはいけないと思っています。「情熱ドリブン」で始めつつも、仮説検証を経て理性的に軌道修正するからこそ、ヒットにたどり着くということなんですが、このようなバランス感覚をアカツキのゲーム部門では大切にしています

次の成功につなげるために
あえて失敗を後世に残す

「情熱ドリブン」で始められることもアカツキの魅力ですし、 Head of Gamesである戸塚さんが「止める勇気」を持ってくれていることもメンバーにとっては心強いことですね。

僕や創業者の塩田、経営メンバーの考えとして、ゲーム開発は創造性や偶然性が実は重要であり、論理で導いた予想だけでプロダクト編成することは危険だと考えています。ロジックでは説明仕切れないような、個人の情熱や仮説から出発するコンセプトに対しても挑戦できる経営を目指しています。

 

ゲーム企業は、前向きに運を引き寄せることも重要です。ですので、ワクワクを組織内に伝播させてエネルギーを高めておくことも大事だと思います。また、思い切ってプロジェクトをスタートさせるためには、止める勇気、止める仕組み、も重要だと考えています。

「止めた」ということはある意味で失敗でもあるわけですが、会社としてそこからどのように学びを得ていますか?

アカツキでは「失敗を財産にする」ということを行動指針の1つにしています。社内では「ポストモーテム」という言葉で言い換えたりもしますが、それは起きてしまった失敗を一つひとつを深掘って振り返り、解析することで、本質的な対策へと落とし込んでいくということなんです。学者に例えるなら、彼らは自分たちの失敗や成功を経てみつけた理論を論文にまとめてきたからこそ、読もうと思えば誰もが100年前の論文だって読めるわけですよね。だから、僕たちも失敗の経緯や本質的な要因をドキュメントにまとめて、みんなに見てもらうようにしています。もちろん、失敗したことって人前で話したくはないと思いますけど、それよりも次の成功の起点にするために、あえて失敗を後世に残す方がカッコいいと思うんです。そもそもゲーム開発における失敗って分かりづらく、複合的な場合がほとんどです。コンセプト選定とマーケットボリュームの問題、序盤のチームビルドの問題、もしくはアルファ開発での失敗もあればリリース直前のチェック漏れという失敗もあるのに、それらを振り返らないと結局「あのゲーム売れなかったね」という製品の話にしかなりませんからね。

みんなの「情熱ドリブン」を起点に、そこから失敗という財産の積み重ねたことで、幅広いジャンルのゲームをリリースできるようになった現在のアカツキが形作られているわけですね。

そうですね。「幅広いジャンルのゲームをリリースできるようになった」という点で補足すると、アカツキは協業する他社さんの強みにリスペクトを持ち、Win-Winな関係性を築くことに常に挑戦してきました。僕たちにとって本当に大事なのは「世の中にどんな影響を与えられる事業を作るか?」であって、例えばその事業がRPGゲームを作ることなら、そのためにはアカツキのメンバーのみで全部作ることにこだわるのではなく、RPGゲームを得意とする他社さんと協力してチーム作りした方が良いと考えるようにしています。雇用形態も所属する会社も問わずフラットな方が高い創造性を発揮できると思いますし、その方がアカツキが掲げるミッション「Make The World Colorful(世界をカラフルに輝かせよう)」も実現できると信じています。