INTERVIEW

台湾との連携 「守る」ことで 世界進出を支える

Beacon 小山田 佑樹
Think@ 小崎 卓也
CAPS 安納 達弥
法務 飴野 廣人
INTRODUCTION
前編に続き、アカツキの各専門組織の枠を超えて横断的にリスクマネジメントにあたるバーチャル組織「ケルベロス」についての理解を深堀りしていきます。後編ではアカツキ台湾支社に設けられたチーム「BEACON(ビーコン)」の小山田佑樹さんにも参加してもらい、拠点間の連携や、グローバル展開を見据えたリスクマネジメントの考え方を紹介していきます。
小山田 佑樹

前職でベトナム拠点の立ち上げを経験した後、アカツキの台湾拠点となる「曉數碼股份有限公司(Akatsuki Taiwan Inc.)」の設立にあわせて入社。複数の部署の立ち上げを主導し、現在は「BEACON(ビーコン)」のリーダーとしてリスクマネジメントに注力している。

小崎 卓也

2017年のアカツキ入社後、2018年3月には各ゲーム事業を横断して、「ゲームの作り手・クリエイターが制作に集中できる」ような環境づくりやチーム運営を支援するための横串の業務推進・課題解決チーム「Think@(シンカ)」を発足、リーダーを務めている。

安納 達弥

創業期メンバーとして2011年にアカツキに入社後、2015年には「顧客とプロダクトの満足度最大化」を追求するチームとして「CAPS(Customer And Product Satisfaction)を組織。2020年4月からは地方拠点であるアカツキ福岡の代表取締役CEOも務める。

飴野 廣人

社内弁護士として2016年にアカツキに入社。現在はリスクマネジメント業務と知財業務主に後者を担当。そうした業務の一環として「ケルベロス」の発足に関わることとなる。

東京以外の拠点にも
優秀なメンバーがいてくれる

前編でお話いただいた3名に加えて、後編からはアカツキの台湾支社でリスクマネジメント業務にあたられている小山田佑樹さんにも加わっていただきます。まずは簡単なプロフィールから教えていただけますか?
小山田:アカツキが台湾に拠点を立ち上げるタイミングでジョインしました。1年目はコーポレート部として労務・会計・総務の部署にいて、2年目からはゲームの部署で翻訳とカスタマーサポート部を立ち上げたり、窓口と検証の部署の責任者を務めていて、現在は「BEACON」としてリスクマネジメントに注力しています。
アカツキ台湾支社において、普段はどのようにリスクマネジメント業務にあたられているんですか?
小山田:グローバルにパブリッシングするために(東京本社の)法務が各国の規制などを調べて作ってくれたレギュレーションを、オペレーションとして台湾側のチームに導入するといった業務にあたっています。また、台湾支社でこれから作るプロダクト内容を制作部からキャッチして、リスクがありそうな箇所は、隔週で参加している「ケルベロス」のオンライン会議に議題としてあげ、開発経験が多い日本オフィスから知見をもらったりしていますね。
主にリスクマネジメント業務を担っている点を考えると、「BEACON」は「Think@の台湾版」という認識でしょうか?
小山田:(レギュレーションなどの)定義作成自体は小崎と飴野を中心に決めてくれているので、「ビーコン」はそれを台湾オフィスに共有して実行するというのが主な業務ではありますが、リスクマネジメントの役割としては「Think@」に近いものがあります。
小崎さん、安納さん、飴野さんから見ると、台湾支社の中に「BEACON」のような組織があることで、どんなメリットが生まれているとお考えですか?
小崎:そもそも台湾支社はアカツキのゲームをグローバルに発信していくための大事な拠点で、売上の面でも事業部に大きく貢献しているのですが、「BEACON」がその近くでコミュニケーションを取ってくれることの安心感はありますね。いくらレギュレーションを導入したからと言ってすべての意図が現場メンバーに伝わるわけではなく、時にはうまくいかないこともある中で、アカツキとしての品質を一定に保つためにBEACONがハブとなって連携できることはメリットだと思います。
飴野:僕は「ケルベロス」を、その時々のトピックに対して必要な機能を持ったメンバーがアサインされることで、アメーバ状にカバー範囲が広がるような組織として維持していきたいと思っているのですが、「BEACON」があることでグローバル展開の拠点である台湾にまでそのアメーバを伸ばすことができていると思います。
安納さんには、同じく東京以外の拠点である福岡で「CAPS」をマネジメントされている立場として、そうした会社機能の分散化のメリットについて聞かせてもらってもよろしいですか?
安納:まず前提として「CAPS」は元々東京にありました。そこからアカツキとして将来的なゲームタイトルのリリース計画の増加を鑑みた時に、「適切な人材を適切な時期に集められるか」という課題が生まれ、東京以外でも採用できるような体制にしておく必要性を感じたため、アカツキ福岡内に「CAPS」を作ることになったんです。福岡は日本の地方都市の中でも珍しく若者の人口が増加している場所でしたし、行政の方々も協力的でしたからね。今後、リモートワークが日常的にになっていく中で、「ビーコン」がある台湾や「CAPS」がある福岡のように東京以外の拠点にも優秀なメンバーがいてくれることはメリットだと思いますし、先ほど述べた課題の解決を考えると、他都市に今後もっと拠点が増えることもあり得るのかなと思っています。
小山田:開発拠点が分散しているなら、リスクマネジメントの拠点もそれぞれにあった方が圧倒的に情報をキャッチしやすいですからね。レギュレーションにしても、知らない人が作ったルールに一方的に「従ってください」と言うよりも、顔もキャラクターも知っている人間が背景と共に説明した方がしっかり運用されると思います。

船の往来を光で照らして
安全な方向に導くという役割

「守り」の専門職である「ケルベロス」の役割は、一般的なゲーム開発職とは少し違ったものですが、ご自身の仕事に「やりがい」を感じるのはどんな時ですか?
小崎:アカツキでは毎週全社MTGがあるのですが、そこでクリエイターの方々が新しいプロダクトの話を嬉しそうに話しているのを見る時に「やりがい」を感じますね。その方々がそうやって新しい企画に時間を割けていること自体、私たちが「守り」の部分で何かしら貢献できたからなのかなって、(ゲーム開発の)循環の一部になれたように思えるんです。
安納:「CAPS」の仕事って華々しく売り上げが示されるようなものではないので、「やりがい」を数字に置き換えることはできないのですが、それでもゲームが正しく動いて、世の中の人たちが喜んでくれるためには重要な役割ですから、それが達成できた時は嬉しいですね。もうひとつ、「CAPS」は大体160~170人くらいが所属している大きなチームということもあり、他チームに比べて色々なバックグラウンドを持った方々が加わってくれているのですが、私としてはそんな「CAPS」を「ゲーム開発の他分野にキャリアを広げるきっかけのチーム」としても位置付けています。ゲーム開発の専門的知識や経験がなかったメンバーが、ここで知識をつけ、気付きを多く過ごしたことで他チームで活躍しているのを見るのは私個人としての「やりがい」でもありますね。
飴野:リスクマネジメントとは、事業部のブレーキとなるのが役割ではなく、事業部の適正迅速な意思決定をサポートすることが役割であると考えています。なので、事業部がスピード感を持って良い意思決定をできることこそが我々のミッションです。
小山田:3人の話とも重なりますが、僕がいる台湾支社には170人くらいが働いていて、そのほとんどの人が「グローバルにゲームビジネスに携わりたくて」入社して来ているので、その本気さに、リスクマネジメントの部分で貢献できていることには「やりがい」を感じます。そもそも「BEACON」という言葉自体、「灯台」という意味に由来していて、ゲームプロジェクトを船に見立てた時に、その当事者ではないけれど、船の往来を光で照らして安全な方向に導くという役割に、リスクマネジメントとの近さを感じて名付けられたものですからね。

クリエイターがドライブできる
環境を整えることがミッション

それでは「ケルベロス」として今後どのような進化を目指しているか、その展望を教えてもらってもいいですか?
小崎:私たちが作ったレギュレーションには(社内での)浸透度合いの面でまだ課題があると思っていて、まずはもっと認識してもらえるようにしていきたいです。また、準備が整えば、社内外の分け隔てなく、自由に使えるような世界ができればと思っています。アカツキは元々外注会社さんとも分け隔てなくものを作ることを得意にしてきました。同様に、業界を盛り上げるという観点で、我々が積み上げてきたノウハウを外部のディベロッパーさんと共有し、業界の品質を上げていけるような、そんな世界が実現できたら良いなと思います。もちろん、業界に貢献できるようなレギュレーションにするためには、相当の努力が必要ですが、目指しているところはこのような世界です。
安納:オープンソースとまではいかなくても、アカツキの文化として、業界活性化のためにここまで取り組んでるんだっていうのは見せたいですよね。
小崎:そうですよね。そこから次のフェーズとしては、やはりグローバル展開におけるリスクマネジメントを戦略的に強化していきたいですね。
飴野:「グローバル展開におけるリスクマネジメント」について法務的な観点から付け加えると、ヨーロッパで個人情報保護のための「GDPR(EU一般データ保護規則)」という法律ができたり、中国をはじめとする何カ国かでGAFA対抗措置としての法令強化の取り組みがあったりと、まさにスタートが切られた「直後」なんです。僕たちもやっと第一歩を踏み出した程度ですが、それくらいハードルが高いことですからね。とりあえずは、できる限り全世界の法令に対応したレギュレーションを作っていくことが「ケルベロス」の今の大きなタスクの一つです。
小山田:門戸が開かれた分、海外企業ともガチンコで戦っていかなくてはいけませんが、それでも物理的にソフトを売るものだったかつてのゲームが、法律のケアのためにヨーロッパやアメリカにそれぞれ拠点を置く必要があったのに比べれば、今の時代は日本と台湾の2拠点からでも十分グローバルに出られるはずです。それに台湾は人口が2400万人くらいで、台湾国内だけを狙ったサービスが多くないからこそ、日本をはじめとする世界中の文化に日頃から触れていますから、そうした台湾人のグローバルな目線とコラボしていくこともアカツキの台湾拠点としての役割だと思っています。
安納:こうしてアカツキのビジネスがより広範囲に広がっていく時に、それにあわせて自分たちの担う役割も広げていきたいですね。それに、ゲーム業界の悩みでもある法律の壁やリスクマネジメントの課題に、アカツキがこうして取り組んでいることは、これから参加されるクリエイターの方々にとっても1つのソリューションとなるのではないでしょうか。
飴野:拠点がどこであれ、国がどこであれ、クリエイターがドライブできる環境を整えることがミッションであることに変わりはありませんからね。法律の壁やリスクマネジメントの課題に、アカツキがこうして取り組んでいることは、これから参加されるクリエイターの方々にとっても1つのソリューションとなるのではないでしょうか。