INTERVIEW

BtoCの最前線!ユーザーと同じ視点で”熱狂”の起点に

Marketing 後藤 ヨシアキ
Marketing 池田 尚樹
INTRODUCTION
CMOの窪田さんに登場してもらった前編に続き、後編ではファンマーケティング部門のリーダー後藤さんと、同チームのメンバーとして活躍する池田さんの2人から、ファンマーケティングの役割、その楽しさと難しさ、求められる人材像や今後の展望について詳しく話してもらいました。
後藤 ヨシアキ

アカツキに入社後、『八月のシンデレラナイン』プロジェクトの企画立ち上げ期から担当マーケターとして参加。2018年からは同社のマーケティング部の新セクション「ファンマーケティング」部門のリーダーも兼任。

池田 尚樹

広告代理店勤務を経て2019年にアカツキ入社。当初からマーケティング部に所属し、現在まで一貫してイベントの企画と実行を担当。

活気と安心感が
“長く楽しめる”環境を支える

このインタビューではアカツキのマーケティングチームのセクション「ファンマーケティング」への理解を、リーダーを務める後藤さんと、共に業務にあたられている池田さん、2人のお話から深めていければと考えています。まず簡単に組織体系を教えてもらえますか?
後藤:マーケティングチーム全体としては現在約20名が所属しています。その中で前編で話してくれた窪田がリーダーを務める「マーケティングスペシャリスト」という、主にブランドコンセプトの設計や宣伝を担当するセクションと、私が担当する「ファンマーケティング」という、ゲーム内外でユーザーさんにタイトルを長く愛してもらうためのコミュニケーションを担うセクション、この2つに大きく分かれています。現状、それぞれのチームの規模感としては半々くらいです。
池田さんは入社当初からファンマーケティングチームに所属されているとお聞きしました。中途としてジョインした池田さんから見て、チームはどんな雰囲気ですか?
池田:”ユーザーさんの期待を半歩以内で超える体験”という言葉がチーム内で常にメッセージングされていて、みんなそれぞれの領域で探しているというか…ユーザーさんに喜んでもらうことに各々のメンバーが貪欲なチームです。KPIも重要ですが、面白いか?喜んでいただけるか?が企画を判断する際に大きな比重を占めるので、そこは前職と比較してもやりがいを感じている部分ですね。
具体的には何をされているんでしょうか?
後藤:ゲーム外で言えば、公式サイトの更新やSNSの運用、YouTubeや生放送の配信、ファンミーティングや音楽LIVEの開催、コミケなど催事への出展、グッズ化や書籍化…etc.を担当しています。これらの制作と実行をアウトソーシングせずに、ほぼ自分たちだけで内製する点は他社さんと比べてユニークな点ではないでしょうか。
ゲームとの連動で言えば、放送部の開設&運営、キャンペーンやコラボ、エイプリルフールの企画などをこちらから提案して運営チームと一緒に進めることも多いですね。
マーケティング組織を2つのセクションに分けたのは2018年とお聞きしました。ファンマーケティングチームが発足した経緯を教えてもらってもいいですか?
後藤:それまでアカツキのマーケティングチームでは、私自身が『八月のシンデレラナイン』専任であったように、1タイトル1マーケター制の組織でした。当時のマーケターの担当領域はキャンペーンの戦略策定からSNSでの情報発信、デジタル広告の運用、TVCM、生放送の準備、グッズの商品化まで、本当に全てでした。
一方、市場はブラックオーシャン化が加速しており、中規模オリジナルタイトルが自立するには、ニッチメジャーを目指す必要がある状況でした。そういった中で我々は、一定型化されていた俗にいうゲーム運営ではなく、”ハチナイらしい運営”(=絶対的にユーザーファーストであること)で、ユーザーさんの熱量と関係値を構築しようと話し合っていました。そのためには施策の一つ一つで運営の熱意をユーザーさんに伝える必要がある…一人でやっていてはどうしても深度に限界があるな、という流れから、チーム発足に至りました。
ひとつのタイトルを複数のマーケターで担当する必要が生まれたんですね。
組織を分けたことで実際、うまく機能していますか?
後藤:はい。「安心して、長く楽しんでいただく」という側面を担うファンマーケティングに関しては、施策準備の質がユーザーさんの体験に直結しています。分業化したことでより緻密に、立体的に仕込みができるようになったので、自分たちにも自信がついてきました。成功も失敗も資産にして、チームとして大きくなっていきたいですね。

ファンマーケティング施策は
”熱狂のエネルギー”

池田さんは配属当初から『ハチナイ』のファンマーケティングを担当されているんですか?
池田:はい。コミックマーケットやお菓子メーカーとのタイアップなど、ゲーム内外の施策をアシスタントとしてサポートしています。『ハチナイ』に関しては後藤自身がプレイヤーとして先頭を走って、新しい施策を切り拓いていくことが多いので、その道を追いかけながら、少しずつ任せてもらっているところです。
実際、現場に出るたびに毎回ユーザーさんの熱狂を感じ、それに応えなければ!と気を引き締めています。
その施策、熱量とは具体的にどんなものでしたか?
池田:例えばですが、おかげさまでコミックマーケットでは回を重ねるごとに『ハチナイ』ブースへの来場者数も売り上げ規模も増え続けています。また、社内へユーザーさんを招待して行っているファン感謝デーも定着してきていて、募集に対して10倍を上回る応募が来るようになりました。今では、地方に出張したり、元プロ野球選手をお招きして一緒に試合観戦をしたりと、ファン感謝デーの形態もバラエティ豊かになっています。
何より一番嬉しいのは、そういった場でユーザーさん同士のコミュニケーションが生まれ、各地で自主的なオフ会が開催されるようになってきたことですね。SNS上での関係がリアルなものに昇華する瞬間を目の当たりにした時、準備期間の疲れもスッと消えてしまいました。ファンマーケティングの積み重ねが目に見えた瞬間でしたね。
初期から『ハチナイ』を担当している後藤さんから見ても、こうしたユーザーさんの熱量はプロダクトに良いフィードバックを与えていると感じますか?
後藤:はい。「リリース4年目にして、今もゲームの規模が成長している」という事実がひとつの結果だと思います。
この件を補足すると、チームとして意識しているのは、”ゲームに触れていない時も『ハチナイ』を楽しめるように!”という事です。その性質上、どうしても”飽き”と向き合わなければならないのがゲーム運営ですが、『ハチナイ』をIPとして立体的に表現することで、TVアニメ、小説、音楽ライブ、キャラクターグッズなど『ハチナイ』を楽しむユーザーさん自身にメディアを自由に選択していただきたいと考えています。
ゲームに少し疲れた時にはそれ以外の『ハチナイ』を、何かをきっかけに再燃したタイミングで「少し離れていたけどまたやろう」という気持ちでゲームに改めて触れていただく。ファンマーケティングを積み重ねていくことで、こういった気持ちのサイクルの受け皿になれれば理想ですね。

マーケティング業務としては
最難度のレベル

マーティング領域の中でも、ファンマーケティングは特に専門的なものだと思います。
どういった人材が向いている考えますか?
後藤:「ユーザーさんに楽しんでもらうために何ができるか」という部分で、上長の指示を待つのではなく、担当している分野において自発的に企画を提案することができるような人が向いていると思います。
また、施策がそのままユーザーさんに届くということをいつも念頭に置いて、クオリティ管理に一切妥協しない厳しさも重要です。クオリティはユーザーさんへの直接的な影響が大きいだけに、責任感は重視しています。
そういった意味で、ファンマーケティングはBtoCの最前線、マーケティング業務としては最難度のレベルだと考えています。
「最難度」というのは、求めるものが常に変わり続ける「C(カスタマー、顧客)」に向き合い続けなくてはいけないからということでしょうか?
後藤:具体的には、様々な環境要因による変化に適応しながら、自分の担当する領域において、やるべきことを言語化してチーム内や協力会社さんに共有し、最終的にお客さまに届けるメッセージとしてラッピングしてプレゼントできる仕様まで落とし込まなければなりません。それらは顕在ニーズにとどまらず、半歩先にある潜在ニーズを提供してこそです。
答えがあるわけではなく、クオリティラインが自分自身に委ねられている状況で、「ユーザーさんが楽しんでくれるであろうこと」を突き詰めるというのは、市場コンディションからニーズを読む力、自分との戦いに負けない自律心、それを具現化する実行力など、多面的な能力を高い次元で身に着けている必要があります。そういった意味で、最難度だと考えています。

試行錯誤しながら
チャレンジしていきたい

後藤さんはファンマーケティングチームのリーダーとして、池田さんを初め、他メンバーの方々に今後どのような成長を期待していますか?
後藤:ファンマーケティングは、自分自身が1番のユーザーでありつつ、きちんと市場やユーザーさんのコンディションを俯瞰して、先手を打たないと価値あるコミュニケーションは導き出せないと考えています。そのために、圧倒的かつ良質な「経験」を積み重ねて欲しいですね。
その「経験」はどうやって養うことができると考えますか?
後藤:アカツキのようなIT出自の企業の在り方と異なる部分もあるかもしれませんが、個人の意見としては徒弟制に近い関係によって養われる部分も多分にあると考えています。担当タイトルの性質やタイミングによってコンディションは違いますし、フレームワークを適用するのにも限界があります。仕事を進めるうえで、汎用的なパートはナレッジ化を進めつつ、ファンマーケティングの肌感といいますか、察する部分に関しての「経験」はある程度属人的に培ったのち、それらを伝えていく過程で徐々に型化していければ良いなと考えています。
コロナ禍もあり、社会が目まぐるしく変わっていく状況の中で、今後のファンマーケティングの在り方はどのように変わっていくと考えていますか?
後藤:これまでファンマーケティングがもたらしていた一体感の中には、”その場にいる”という参加意識や、熱量の高いユーザー同士の繋がりのようなものがあったと思います。しかしイベント自粛ムードの中、今後はその場に行かなくても一体感や連帯感を感じられるような、オンラインでの活動によりバリューが生まれるのではないでしょうか。
たとえば今年の4月に計画していた音楽LIVEイベントを例にとると、中止ではなく無料の配信ライブに切り替えて開催したことで、結果的にTwitterのトレンドに入り、認知を高めることができました。チームとしては、今後のオンラインイベントの布石にできたと、プラスに受け止めています。
池田:コロナの状況が今後しばらく続くのは避けられない状況ではありますが、泣き寝入りするのではなく、この環境下でも試行錯誤しながらチャレンジしていきたい、今までとは違う「新しいユーザーコミュニケーション」を考えていくことに挑戦したいと思っています。